メニュー開発はいかなる場合も「美味しい」から外れてはいけないワケ。基本を抑えるということ
今日は「基本を抑える、普遍的なこと」というテーマでお話します。
特にメニュー開発において、迷いが生じた時に参考にしてみてください。
筆者は現在、食品製造会社に勤めているのですが、ちょっと興味深い出来事があったので、冒頭に少し触れてみようと思います。
今朝、弊社のお客様(小さな飲食店の店主様)から、営業社員に電話がありました。
内容はちょっと大きなクレームで、社長を連れてこい、と言っています。営業部長でもダメだというのです。
電話の対応をしているのは、現在の営業担当ではなく、過去に担当していた社員でした。
お客様は彼の携帯電話に直接電話をかけてきたのです。
そして、しばらくお客様と話をした結果、謝罪をして円満に解決したのでした。わずか30分くらいの出来事でしたが、この一連の出来事で、改めて営業は物を売るのではなくて、自分を売る仕事なんだと感じました。
お客様は弊社の商品を買ってくれていますが、何よりもこの営業社員を買ってくれているのです。
この社員のことを信頼しているからこそ、お客様は真っ先に電話をかけてきたのだと思います。営業はどうあるべきか、ということを改めて感じた出来事でした。小さな飲食店も一緒です。
こういう基本的なことというのは、時代が変わっても同じであり続けると思います。
筆者は、食品の商品開発をしているのですが、今のトレンドだけではなく、過去にどんなお店が流行っていたのか、ということも調査します。
社内には20年くらい前の業界誌や、専門料理のムックなどが多数ありますが、それらに目を通していると、その時にブームとなっている商品というのは、ほぼ100%淘汰されていますし、その当時より以前から定番の商品は、今でも定番であり続けているです。
最近、糖質を抑えた商品を開発してほしいという依頼がありました。
糖質を抑えるということは、本物よりも美味しくない商品を作る、もしくは、美味しくない商品を美味しいと感じる方向へ限りなく近づける、ということです。
飲食店の店主さんであれば、そのくらい十分わかることでしょうが、それでも飲食店を利用するお客さんからそういう要望があると、それに応えようとしてしまうのです。
飲食店は味が美味しくなければ長続きしません。
オーガニックやグルテンフリー、ハラル、アレルギーへの対応など、一部のお客様を対象として専門特化した飲食店というのはありますが、対象がマジョリティではないため、大きく成長することはありません。
普通の飲食店が、そういった商品を扱うことには否定はしませんが、普通の商品と同じ味のクオリティで提供できないのであれば、止めるべきです。
理由は、美味しくないと言われるからです。それによって店の評判を落とすことになるのです。ですから、糖質を抑えたメニュー、イコール「美味しくない」となるので、やめるべきなのです。
糖質を抑えたメニューというのは、どう考えても一過性のニーズだと思えます。もしくはごく一部の限られたターゲットにしか支持されないメニューです。
ダイエットや健康維持も普遍的なニーズですが、飲食店でダイエットが優先されることはないのです。
繰り返しますが、美味しくない料理は絶対にウケないのです。
こういう普遍的な事がらは、しっかりとおさえておくべきです。
美味しくないものより美味しいもの、汚いお店より清潔なお店、愛想が悪い店員より感じがいい店員、値段が高いものより安いもの、どれも時代が変わってもくつがえることはありません。
そういう基盤の上に、どうすれば心地良い第2の自宅の雰囲気を出せるだろうかとか、もう一品注文してくれるような販促にはどんなものがあるだろうか、と考え始めるのです。
実に当たり前のことを書いてきましたが、及第点でもいいので基本はしっかり押さえておくべきです。
小さな飲食店にどんな基本があるのか、お風呂に入ってリラックスしながらでも、一度じっくり考えてみましょう。