建物の経年劣化は、実は清潔感がある?
お客様にとって、あなたのお店が清潔かどうかを感じ取るポイントがあるのでご紹介します。
住宅であっても、新築と中古であれば「基準」が違います。ここでいう基準というのは、新築ならこのくらいキレイで当然という基準、築10年ならだいたいこんなものででしょうという基準、築25年なら所詮こんなもんでしょうという基準、言い換えれば先入観のようなものです。
人は何かと比較をして、優れているとか劣っているとかを判断しがちなので、きれいとか汚いの判定も比較対象によっては厳しく見られたり甘く見られたりします。
店舗においても同様で、古いビルの中に入っている居酒屋なら、まあこんなものかと思いますし、新築のSCの中のフードコートなど高いクリンリネスレベルを求められがちです。
要するにお客様の目線にはハード面の経年劣化がすでに折り込み済みなのです。
ですから、居抜きの店舗や古い商業施設にあなたがお店を開いたのならば、皮肉なことに、実はクリンリネスに関してアドバンテージがあると言えます。お客様のあなたのお店に対する清潔さの期待は初めから低いのです。
ということは、お客様の期待を上回る清潔レベルを作り上げることは比較的容易だと言えます。過度に内装をリフォームすることはある意味では逆効果で、むしろトイレやテーブル、空調などといった環境面に資金を投入すべきなのです。
お客様の期待を上回る、ということに関してこのブログでたびたび出てくることになりますが、お金という価格で取引をする以上、価格以上の価値を見いだせればお客様は「得をした」と思うでしょうし、その反対は「損をした」と思うのです。
あなたが飲食店を通じてお客様に売るものは「1食の食事」ではありますが、お客様はその1食の食事を通じて「お腹いっぱい」「美味しい」だけではないのです。「居心地がいい」「楽しい」そのお店を調べて、行ってみて、SNSに投稿してという一連の過程が「面白い」「家族の会話が生まれる」「スタッフに話を聞いてもらえる」などいろいろな要素があるのです。
話を戻します。
経年劣化をしているお店でも、きれいにするという行為は何ら変わりません。清潔とは5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)の4番目にくる言葉ですが、動詞ではなく状態を表します。3S(整理、整頓、清掃)が行き届いた状態を表すのが「清潔」なのです。整理(必要なものと不要なものを仕分けして、不要なものを処分すること)、整頓(必要なものを決められた場所で定位置・定数管理すること)をして、清掃をしっかりすればあなたのお店は清潔なお店になるのです。これは、たくさんのスタッフを使うお店に比べれば、自分でやればいいだけのことですので、あなたの意識だけですぐに出来ることなのです。