小さな飲食店の問題解決

飲食店が生き残るために手を打つべき事項をご紹介します

実際の原価のお話

 飲食店は商売の基本を学ぶには最適だと言われています。それは損益計算書が単純かつ基本的な要素ばかり、というのが理由の1つでしょう。

 

 損益計算書について、よくわからずにお店を運営されているとしたら、よほど運が良いか、失礼ですが自殺行為かどちらかです。そのくらい数値は重要なのです。もしも「運が良い」方の自営業者さんであっても、有能な税理士さんにアドバイスを受けたり、自身がお金の流れをしっかり押さえているから大丈夫なのだと思います。

 

 原価は、業種によって考え方が異なりますが、人件費まで含めず純粋に売上に対する原材料費だけで考えるのが小さな飲食店の通例です。

 

 飲食店における原材料費(以下、原価という)は売価に対して40%未満であるのが普通で、ナショナルチェーンにおいては20%台ということも珍しくありません。最終的に全商品アイテムの販売数で平均値が決まりますので、チェーン店においてはA店では29%だけどB店では33%なんてこともあります。

 

 ちなみに、50%以上の高い原価率で繁盛しているお店もあり、一時期そういったトレンドもありましたが、稀なケースと捉えたほうがいいと思うのです。

 

 さて、商品別の原価を眺めた際、売れ筋商品の原価率が低いと平均値が下がるのはお分かりいただけるでしょうか。原価率が低い商品の販売数が増えれば増えるほど平均原価が下がるので、売上から原価を差し引いた粗利益が増えるということになります。これを「利益貢献度の高い商品」などということがあります。

 

 「利益貢献度の高い商品」を最初から作っていくのは簡単なようで実は難しく、これはお店側の狙いとお客様のニーズが必ずしも一致しないことが主原因です。もちろん、メニューに「おススメ」「一番人気」などと書いてお客様の心理を操作することも可能ではありますが、お店に「絶対」はないので、これからメニューと売価を決める場合や、メニューの一新をする場合などは、全アイテムを概ね同じ原価率になるように売価設定するのがリスクの分散につながります。

 

 例えば、ラーメンの原価が250円、汁無しの油そばの原価が180円ならば、売価はみそラーメンのほうが高く設定すべきです。スープがない分、油そばの原価が低くなり、専門店ではラーメンより安く提供できるのはそのためですが、もし大衆がこういう業界側の常識を知らず、かつ、ラーメンと油そばに同じだけの価値があると判断してもらえるのであれば、らーめんの売価で汁無し油そばの売価を揃えてもいいでしょう。この場合、汁無し油そばのほうが「利益貢献度が高い」ということになりますよね。

 

 次に机上の原価率と、実際の原価率の違いについてお話していきます。

 

 まず、あなたのお店の実際の平均原価率は何%でしょうか?

 

 そんなのわかっているよと、お叱りを受けるのを覚悟で説明していきます。

 

 当月31日の棚卸高(実際に棚卸をして、仕入れ金額で掛け合わせるといくら相当の材料があるのかということ)と当月に仕入れた金額を足します。

 

 そこから前月末の棚卸高を引き算すると、いくら分の材料を使ったのかがわかります。

 

 これを売上で割り算すると実際の原価率がわかりますよね。

 

 もし値引きなどをした場合、その分も売り上げとしてカウントすると、本当の原価率がわかりますので、考慮します。

 

 棚卸が正確であったとしても、想定した原価率より数%高いことがよくあります。ここが机上の平均原価率と実際の平均原価率との違いです。

 

 この傾向は、実は月商が低いお店のほうが顕著です。

 

 なぜでしょう?

 

 それは計りこみ(例えば1食50gで提供すべきところを53gで提供したり、1パック1kgの原材料が実際はチューブの内部に少し残って990gしか取れなかったりすること)が主原因であり、アイテム数が増えるほどその要素が増え、全体の販売数が少ないほど計りこみの誤差を吸収できなくて、原価率がブレるのです。

 

 ところが商品1つだけで商売が成立するほど甘くありませんから、そこをはじめから折り込んで売価設定をすべきなのです。

 

 想定原価率30%で原価300円の商品の売価設定をする場合、税抜き1000円となりますが、最初から2%くらい上乗せして1070円くらいにしておくべきなのです。なぜ?根拠は?と納得がいかなくても、傾向がそうなので慣例に従ってそうすべきですよと推奨します。そういう保険をかけておかないとお店は廃業へとまっしぐらなのです。

 

 机上での平均原価と実際の平均原価との違い、イメージ湧きましたか? 

 

 原価については別な機会にまたお話しします。

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