特定のお客様に支持されている商品
ABC分析とは、簡単に言いますと商品別の売上構成比を出して、上位からAランク、Bランク、Cランクとカテゴリーを仕分けすることですが、あなたのお店のメニューのABC分析をした結果、Cのカテゴリに入るような商品はどんなものがあるでしょうか。いつもお店にいれば、分析をしなくてもおおよその見当はつくもので、すぐに答えられるでしょう。
それでは次に、そのような商品は誰が注文しているのかを考えてみます。そうするとその中に1品か2品くらいでしょうが、常連クラスのお客様に支持されているメニューがあることがあります。
わかりやすい例でお話ししますと、ラーメン屋さんでなら、五目ラーメンとか、野菜ラーメン、ワンタン麺など、シロウトから見ても販売数が少なさそうな商品ってありますよね。
クレープの専門店で、チョコバナナホイップとかイチゴバナナホイップのようなメニューならいかにも売れそうですが、キウイジャムカスタードとか、みかんチョコアーモンドみたいなメニューがあったとしたら、人気がなさそうなのがすぐにわかりそうです。
でも、こういうメニューが一部の熱狂的なファンに支持されていることってよくあるものです。
ところが、こういうメニューが原材料のロスをたくさん出していて利益を圧迫していることがあります。またオペレーションを複雑にし、見えない損失を出していることだってあるでしょう。メニュー改変の機会に、やめるかどうかという判断を迫られたとき、あなたならどうしますか?
このメニューをやめるとロスが減るけれど、あのお客さんが来なくなって売上が下がるかもしれない、という場面です。
こういった時の判断は、チェーン店でしたら本部が決めますのであっさりとやめてしまいます。基本的にチェーンストア理論では店舗の標準化を進めますから、イレギュラーを認めないのです。しかし、小さな飲食店ではお客様の顔が見えますから、情があってなかなか決断が下せません。そもそも小さな飲食店では標準化を求める理由がないのです。
さて、続けるかやめるかの判断基準として私の提案をします。私はの意見では、そのお客様が来てくれる間は続ける、来なくなったらやめる、というのがいいと思います。販売すればするほど赤字になるような商品であれば、その特定のお客様と直接お話しして価格交渉してみるか、やめる交渉をすべきでしょう。
お店とお客様がある意味で商談をするという世にも奇妙なことなのですが、それが一番利口な解決策だと思います。
常連さんに配慮することができるのは、小さな飲食店の強みでもあるのです。