飲食店はお客に待ち時間を退屈させないことが大切なワケ|雑誌を揃えれば良いってものではない
今日は「お料理を提供されるまでの待ち時間を退屈させない環境づくり」をテーマにお話します。
どんな飲食店であっても、お客には待ち時間というのがあります。
確かに、お客をほとんど待たせずに商売できる、立ち食いそばのような業態もあります。
でも多くの業態では、
- 注文するまでの時間
- お料理が運ばれてくるまでの時間
- 食べ終わってお会計に立つまでの時間
というものがあります。
2人以上のグループであれば、会話が待ち時間を感じさせないものですが、夫婦や親子であれば、会話もせずに、それぞれがスマホをいじっていたりするので、1人で来ているのと何ら変わらないことが多いのです。
また、会話をしていても、相手がお手洗いに行っている時間なども待ち時間です。この待ち時間というのは、意外と長く感じるもので、何もせずに居られる人はめったにいません。
退屈はイライラを増長し、お店への不満となって跳ね返ってきます。
ですから、待ち時間を感じさせない取り組み、仕掛け作りが重要なのです。
待ち時間に退屈させない環境を提供する
はるか昔のレストランには、コインを入れるとおみくじのようなものが出てくる球みたいな置物が各テーブルに置かれていました。
インベーダーゲームなどのテーブルゲームだったり、マンガや雑誌が置かれていたり、テレビがあったり、現代ではフリーWiFiが使えるということも、待ち時間対策だと言えます。
お店側はマンガや雑誌を置くことが、サービスの一環と考えている場合が多いのですが、そのサービスの目的まで踏み込んで考えていることはほとんどありません。
なかには、そういったサービスの提供をすることで、売上が向上するかもしれない、とにわかに期待している店主さんがいるかもしれません。
むしろ多くの場合、滞留時間が長くなって回転率が悪くなる弊害の方を重視しがちですが、実際のところ、1人で来るお客はそんなに暇ではなく、たいてい食べたらすぐに帰るものです。
もしあなたのお店にマンガが1万冊置かれていたとしても、フリーWiFiが使えたとしても、1人で3時間もマンガを読んでいたり、スマホをいじっているお客なんて、かなりの例外です。
世の中には、そんな暇な人は一部の高齢者を除いていないのです。
普通は飲食店に1人で数時間もいたら、居心地が悪くなって帰りますし、居心地の良さを提供しているようなコーヒーチェーンですら、通常は1時間もしないうちに帰ります。
ちなみに客席の回転率が下がる一番の原因は、女性客のおしゃべりです。
こちらは3時間以上なんてザラです。
低価格のランチメニューでピークタイムが始まる前からアイドルタイムに突入するまでいたりします。小さな飲食店でこういった客層に支配されると、満席になってそれで終了、という残念な結果になってしまいます。その日の売上が午前中から見当ついたりします。
話を戻しますが、先に挙げたようなマンガや新聞、雑誌を置く目的は、お客の待ち時間に退屈させない環境を作ることにあります。
ですから、ただ置けばいい、というものではないのです。
ファミリーの客層が多いのであれば、対象年齢や性別まで考えた絵本や玩具を用意するわけです。
雑誌を置くにしても、毎月継続して入れ替えるような必要はありません。退屈させなければいいだけなのです。
マンガも然り。古本で十分です。流行りのマンガは必要ありません。
フリーWiFiは必須です。3大キャリアに依存したWiFiスポットでは不十分、店舗の光回線に接続できる環境がふさわしいでしょう。
繰り返しになりますが、雑誌やWiFiはお客を呼ぶためのエサではありません。
本質は待ち時間を退屈させない環境作りの一環だということです。
そしてその内容は、どの客層が何人で来店したときに、待ち時間を感じさせない媒体なのかまで精査して準備しましょう。
ひとりで定食とビールを注文する高齢の男性が多いなら、テレビと新聞が良く、放送される番組まで精査します。
サウナでチャンネルが固定されていますよね。あれだって、利用するターゲットを考えて設定されているのだと思いませんか?