飲食店は客席の清掃が疎かになりがちな理由とは?お客目線ではない?優先順位が低いから?
今日は飲食店のお掃除についてお話します。
突然ですが、まずみなさんに問いかけたいと思います。
みなさんは、厨房の清掃にかける時間と、客席の清掃にかける時間とでは、どのくらいの比率になりますか?
小さな飲食店では、キッチンとホールの清掃の両方を、自分ひとりで務めなくてはならないことが大半です。
小さな飲食店で、一日の大半を客席で接客している人は、ごくまれな例だと思います。
そうなると必然的に厨房の汚れが目立つようになり、厨房の清掃が中心になりがちです。
そもそも客席より厨房のほうが汚れるのは当然です。
毎日の清掃の他に、ダクトフードやグリストラップ、コンロのゴトク、シンク回りなど、清掃しなくてはならないことがいっぱいです。
でも、確認していただきたいことがあります。
飲食店が厨房を清掃する理由は、見た目ではありません。食品衛生を良好な状態に保つために行うのです。
お客さんにとっては厨房内は見えませんし、利用するのは客席やトイレ、駐車場ですから、そっちをきれいにしてよね、という風になります。
特にテーブルやメニュー表、トイレは誰かが利用の都度、掃除をしてほしいと思うものです。
ところが多くのお店では、アルバイトのホールスタッフがオープン前にテーブルを拭いてトイレを掃除し、カスターセットの補充くらいで終了しているのが実態ではないでしょうか。あとは閉店後にテーブルの上に椅子を上げて掃き掃除とモップ掛けくらいですか。
これではお客の求めている清潔レベルと、お店が提供している清潔レベルに差異が生じるのは当然です。
そこで、どうしたらこの問題を解決できるか考えてみましょう。
まず、ホールのスタッフを雇っている場合、スタッフの資質を十分見極めましょう。
客席をきれいに保つ、きれいか汚いかを感じることができる感性を持ち合わせているか、これはもう申し訳ありませんが、一般論として、家事が出来る女性が最適です。清潔の基準の完成は、育ってきた家庭で培われることが大半です。社会に出てから教育を受け、しつけられることは皆無と言ってもいいでしょう。
小さな飲食店で、具体的な清掃マニュアルを作り上げていることはないでしょうから、スタッフ自身の頭の中に、高いレベルのマニュアルを持ち合わせていなければならないのです。
この分野は男性は苦手なことが多いですし、親元で暮らしている学生さんなどでは、実行レベルが見劣りすることがありますので、求める清掃基準を満たせないことが多いです。ですから主婦が最適です。
乱暴な言い方をしていますが、一般論であり、確率的にそうだということを付け加えておきます。
接客の感じが良くて、清潔に関してよく気が付くようなスタッフというのは、100人中1人いるかどうかの世界ですが、そのように教育していかなくてはなりませんし、最初からそういう資質を兼ね備えたスタッフを採用するために、根気よく待ち続けるというのも方法です。
もちろんあなた自身によるスタッフ教育も欠かせません。
いっぽうで、ホールスタッフを雇っていない場合は、あなた自身が客席の清掃をしなければなりません。あなたの心がけしだいで客席はきれいに保たれますし、荒廃することだってあるでしょう。
自宅をきれいにできない人には、職場もきれいにできません。
きれいな状態かどうかを判断できる感性というのは、これまでの職歴や受けた教育、育ってきた家庭環境に起因することは先にお伝えした通り。
清掃もマニュアル化すれば、清潔レベルを維持できると考えられていますが、実際にはチェーン店でも難しいのです。
マニュアルというものは、精度を高く作り上げることよりも、実行することのほうがはるかに難しいからです。
なぜなら、実行するのは人間だから。そもそも、決められたことを守る意識が高く、実行力を兼ね備えた人と言うのは、小さな飲食店のスタッフに応募してきませんよ。
そして客席の清掃というのは、付加価値を生まない生産性のない活動ですから、多くの現場では、もっとも優先度が低く、後回しにされがちです。
継続は力です。毎日少しだけの時間と場所だけでいいですから、1か所ずつクリーンアップして客席の清潔レベルを上げていきませんか?特に常連のお客様は、きっとそこを求めています。