小さな飲食店で成功を目指すなら、お薦めする業態はコレ|セイロを使って蒸す料理を店頭で製造販売する
以前、蒸し料理について少々触れました。
今日は、せいろを使った料理を提供する業態が、なぜ推奨されるかという記事を書いていきます。
デパ地下で餃子や点心はいつも人気
デパ地下を歩いているとわかるのですが、餃子やシューマイを実演製造販売しているお店は、いつでも賑わっています。
セイロで蒸すというと、シューマイや小籠包といったイメージが強いのですが、もち米を使用したおこわ、蒸しパン、かぼちゃや栗、イモ類などの根菜、豚肉や白身魚など多彩な料理があります。
クックパッドでは、家庭でできる蒸し料理がたくさん紹介されています。しかし「蒸す」という手段の料理が、日本の家庭ではあまり馴染みがないため、日常的に料理を楽しむ人でもなければ、なかなか思い浮かばないと思います。
ですから、スーパーで売られている半製品の中華まんにしても、電子レンジで調理することはあっても、セイロで蒸すという人は少数派だと思います。
もっと言うならば、中華まんはコンビニで買うもの、というのが一般的ではないでしょうか。
蒸す料理にはこんなにメリットがある
ところが、炒めたり、焼いたり、茹でたり、揚げた料理に比べ、蒸して作ったお料理には、多くのメリットがあります。
例えば、素材がとても柔らかくふっくらとし、素材の味がしっかりするものです。
カボチャやじゃがいもを電子レンジで加熱したものと、セイロで蒸したものとでは、味や食感に大きな違いが出ます。
また、栄養価が損なわれることが少なく、油を使用しないのでヘルシーで、柔らかく、素材そのものを美味しくいただけるというのが、消費者のイメージであり、事実なのです。
蒸す料理は、本当に夢みたいな調理法です。
また、小さな飲食店にとってのメリットとして、セイロは重ねられるという利点が挙げられます。
コンロ1つで調理できるので、とても経済的かつ効率的に調理ができます。
蒸し時間も10分程度と短かめ。
そしてここが大切なのですが、蒸気を伴うので、過熱状態でホールドしておくことができるのです。
例えば、鉄板で焼くお好み焼きやたこ焼きは、焼いたら長い時間ホールドしておくことができません。
揚げ物だって、揚げたての状態をキープするのは困難です。
ここは、飲食店経験者、特に中食などの店頭調理販売経験者であれば、納得いただけると思います。
では、セイロを既存の業態に投入するとしたら、どんなことが出来るでしょうか?
例えば、ラーメン屋さんであれば、茹でめん機の一番奥に重ねておけば、焼き餃子でなくて蒸し餃子を提供することができます。
小籠包やシュウマイ、とろけるようなおつまみ豚バラチャーシューなんかも提供できるでしょう。しかも、調理器具があまり汚れません。
なのに、家庭ではほとんどお目にかかることがない蒸し料理。
おそらく、日本は水が豊富なので、昔から茹でたり煮たり、鍋にしたりするのが容易なこと、昭和の長きに亘って、焼き魚が朝食やお弁当、晩御飯の定番メニューであったことによる「焼く」がスタンダードな調理法だったということが理由のように思います。
また、家庭にガスコンロとフライパンが普及して、最も手抜きができる「炒める」という調理方法が多くの家庭に普及したことも理由だと思います。
このことは、これから蒸し料理を扱う小さな飲食店にとって、かなりアドバンテージがあります。加筆してその理由を整理しますと、
- 素材の味が活かされて、栄養価のロスが少ない「美味しくて栄養がある」
- 油を使わないのでカロリーが控えめ「ヘルシー」
- 家庭であまりやらないので珍しい「非日常で楽しい」
- いろいろな食材を利用できる「メニュー開発のバリエーションが幅広い」
- セイロの香りと湧き上がる湯気「食欲を刺激する五感に訴える要素」
- セイロ自体がと皿になる「洗い物が減る、盛り付ける必要がない」
- 非日常なので適正価格がぼやけている「適正な利益をしっかり上乗せできる」
- 少しずついろんな種類を食べたい心理を掴む「女性客が増える」
- 調理状態でホールドできるので「いつでも出来立ての状態を提供できる」
- 単品注文で終わらない「一人当たりの客単価が増える」
- イートインや持ち帰り専用の業態向きで「少ないコストで開業できる」
これだけ挙げても、飲食店側にかなりメリットがあると思いませんか。もちろん暑い夏には、売上が落ちる可能性は十分ありますが、セイロの本場、香港や広州だって年中暑いんです。ちょっと知恵を絞れば、いろんな業態で採用できる可能性がある蒸し料理。筆者が推奨したい調理法であり、業態の1つです。