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ラーメン屋さんはなぜ餃子に力を入れないのか?|餃子こそ売上アップと繁盛店への近道だと力説したい

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今日はラーメン屋さんの話をします。

 

筆者はラーメン店の運営をしていたことがあるので、それなりの知識と経験があるつもりです。

 

ラーメン屋さんにはプロはいない、ラーメン屋さんはたくさん研究した人こそがプロと言われますが、筆者も経験を通じて、その通りだと思います。

 

ラーメンにも基本はありますが、時代とともに変化しており、王道のラーメンですら廃れていくのがラーメンなのです。そして、今や全世界で「ラーメン」というワードで親しまれている、日本が誇る食文化、それが「ラーメン」なのです。

 

前置きが長くなりましたが、今日はラーメンそのもののお話ではなく、ラーメン屋さんで扱う餃子についてお話をしていきます。

 

これからラーメン屋さんを開業したいと考えている方、現在ラーメン屋さんで勤めている方にとって、きっと参考になりますので、最後までお付き合いください。

 

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餃子にどのくらい力を入れるかで、売上に天と地の差が出る!

ラーメン屋さんは、典型的な単品商売で、味(スープ)のバリエーションはせいぜい数種類、それにトッピングを変えるくらいでしかアイテム数を増やすことができません。

 

最近はつけ麺や油そばも人気ですが、専門店化が進んでおり、ラーメンとつけ麺が同じくらい売れる店というのはほとんどなく、どちらかを求めて来店するセグメントでお客の大半が占められます。ですから1日50杯売れるラーメン屋さんでつけ麺を始めても、50+50=100杯にはならず、せいぜい40+15=55杯、というのがオチです。

 

さて餃子の話に戻しますが、ラーメン屋さんは、餃子とチャーハンをセットで考えられることがあります。餃子とチャーハンと言うと、「えっ!?そんなの昔のラーメン屋でしょ?」と反論がありそうです。

 

確かに、つけ麺や油そばの普及によって、ラーメン屋さんのスタイルも変化していますが、それでも、今なお、多くのお客さんにとっては、ラーメンと餃子、チャーハンは切っても切れない関係なのも事実です。先進的なラーメン屋さんは、そこを知っていながら、あえてラーメンのみで勝負します。ところが、真似をするとたいてい失敗します。

 

先進的なラーメン屋さんと言いましたが、そういうプロフェッショナルは、ラーメンを作るのが上手いだけではなく、プロデュースするのが並外れて上手です。周囲の人脈もハンパではありません。

 

余談ですが、ラーメンの繁盛店には、いろんな製めん会社がパイを奪おうとアプローチしますし、製めん会社のバックにある製粉会社やたれを扱うメーカー、添加物を扱う企業なども、情報収集に力を入れます。もちろんメディアもわんさか寄ってきます。そのような業務目的でお店を訪れるお客も多く、売上を上乗せしています。

 

さて、ラーメン1杯にドラマがある、などと言いますが、開業までに修行した繁盛店や、有名店のルーツなどなど、ラーメンにはストーリーが欠かせなく、物語を含めてプロデュースする力がある店主さんに、お客も集まるのです。

 

最近のラーメン屋さんは、自家製めん、もしくは製めん会社さんに特注の麺をオーダーすることも多く、こだわりを感じます。

 

さらに横道にそれて恐縮ですが、ラーメンは準強力粉をメインに作られ、粉も灰分が少ない一等粉を使うというのが常識です。

 

最近は中力粉ベースの麺や、胚芽や全粒粉を混ぜ込んだつけ麺、雑味のある2等粉も好まれる傾向があります。わかりやすく例えると、ふっくらした「白米」よりも「玄米」が美味しいと思うお客さんや、お粥が好きだというお客さんが少なからずいる、ということです。そのくらい味や食感の趣向が広くなり、価値観も多様になっていることをお伝えします。

 

麺だけではなく、スープやチャーシュー、その他の具材にこだわる店主さんも多いです。ラーメンはスープが命ですから、熱心に研究されるのは当たり前なのですが、チャーシューや半熟卵なども「究極の1杯」を構成する要素なので、それらにも力が入ります。

 

究極の1杯を手を抜けとは言いませんが、どれだけ力を入れても、お客が2杯食べることはありません。

 

客単価を押し上げる効果がないと言いたいのです。

 

麺を大盛にして客単価はアップしますが、大盛にすると1杯のバランスが崩れて美味しくなくなるというのが定説。だから、店主さんはできれば大盛を勧めたくないですよね。

 

そしてやっと本題。

 

究極の1杯にこだわっている店主さんはたくさんいても、餃子にこだわっている店主さんはそう多くありません。

 

1杯700円のラーメンに350円の餃子を加えると、客単価が1,000円を超えてしまうため、お客もなかなか注文しないのは確かです。

 

でもそれは350円の価値が見いだせないからなんですよ。

 

餃子はあくまでもサイドメニューという位置づけのお店が多く、売れればラッキーという程度で考えていることが多いんです。

 

そして、ここが重要なのですが、お店側にとって「オペレーションが複雑になる」という理由で、内心は「あまり売れてほしくない」と思っている店主さんが多いのです。麺が茹で上がり、テボを持ち上げて、さあ盛り付けをしようというときに、餃子が焼きあがったら、ふつうはイライラしますよ。だから出来ればやりたくない。

 

ゲンコツを割りながら、メンマの塩抜きをして、チャーシューを煮込んで、涙を流しながら玉ねぎの皮を剥いて、それで餃子も握るなんて、考えただけでも嫌になります。

 

ましてや、生の餃子なんてすぐに腐るし、少ない冷蔵庫のスペースも大きく占拠するわけです。やりたくない理由が盛りだくさんです。

 

人間は嫌いなことを遠ざけます。

 

ましてやラーメン屋さんの店主さんは、好きでラーメン屋さんをやっているわけで、もともと自我や自己主張が強い人が多い傾向にあるため、ますます嫌なことは遠ざけます。だから餃子が手薄になります。

 

でも、お客さんの立場で考えたらどうでしょうか。

 

 

ラーメンとのセットメニューならまだしも、追加で注文して1,000円を超える料金を支払うのに、追加分の餃子が美味しくなかったら、印象が悪くなります。だから妥協してはならないのです。

 

そのこだわりがない餃子ですが、業務用のチルド流通しているものや、冷凍のものを扱うお店が多いのも事実です。餡を自分で仕込み、皮に包んでいるお店は、今やかなり少数派なのです。

 

これは、とても差別化しやすいポイントだと思いませんか?

 

「餃子はニラやにんにくが入ってお口の中が臭くなるので、女性は好まない」なんてウソです。

 

男女を問わず、餃子は誰もが大好きです。

 

そして、ラーメンと違って季節による売上の変化もありません。

 

餃子はにんにくやニラを抜いて餃子を作ってもいいのです。餡なんて何を入れてもいいのが餃子なのです。

 

それなりの規模の製めん会社では、たいてい餃子の皮も作っています。

 

餃子やシューマイの皮づくりは、実は麺よりシビアで難しく、プロ中のプロが作っていることが少なくありません。

 

小売り用の餃子の皮の市場規模は、生めんに比べてはるかに小さく、2017年の統計では、ほぼ毎月前年割れするくらい、市場規模が縮小しています。要するに、家庭で餃子を作る人が減っているわけです。

 

でもそれは、消費者が餃子を食べなくなったと解釈するのは早合点。

 

むしろ餃子が好きだけど、作るのが面倒、買った方が安い、ということなんです。

 

だからこそラーメン屋さんは、もっと餃子に力を入れて、差別化をすべきなのです。

 

餃子の皮も色々あり、色付きのものを扱っていたり、厚さや柔らかさもいろいろあります。麺を仕入れている製めん会社の営業担当者から、皮に関する情報をもっと聞いて知識を増やし、1か月くらいでもいいので、餃子の研究をしてみると面白いと思います。

 

客単価アップだけではなく、客数も上がる可能性を餃子に見出してみましょう。

 

ラーメンの新作や季節商品の投入は、既存のラーメンのパイを奪い、客数増にはなかなかつながりません。それより、餃子に力を入れることで、確実に売上アップに繋がると断言します。

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