食べ物を売るのではなく、まずアナタを売ることから始めよう
タイトルにあるように、自動車の販売であれ、生命保険であれ、塾の講師であれ、営業職で成功している人というのはモノを売る前に自分自身を売っているものです。
スーパーセールスマンと言われる人たちは、例外なくその人自身がお客様から圧倒的な支持を得られています。
私は某ショッピングモールの飲食店で店長をしていたことがありました。このショッピングモールは日曜祝日の入館客数が4万人くらい、何の対策をしなくても日曜の客数が700人前後、年商1億円くらいになるお店でした。いま考えれば、商品のクオリティは低く、接客レベルも最低でした。でもとにかく並んでいるお客を「さばく」ことで精いっぱいな繁盛店でした。
同じように高速道路のサービスエリアや空港の飲食店も桁外れの売上になる言われています。
でもそれらはあくまでも例外中の例外で、小さな飲食店は前出の通り、自分自身を売っていかなければお客様の支持は得られないと断言できます。
マスターに会いに来たよ、おかみさんと話がしたくてちょっと寄ったよ、と言ってくれるお客様がいるのです。商売人冥利に尽きる瞬間ですが、実際にこういうあなたのファンがいるからこそお店が存続していけるのです。
私が全国チェーンのエリアマネージャーとして勤務していたとき、約25店舗を統括していましたが、売上を維持もしくは向上ができていたお店に共通していたことは、店長が女性であること、もしくはとにかく心から気持ちを込めて接客をしているお店、このいずれかでした。どのお店も商品のクオリティはほとんど変わりません。全てが同じ規格で出来ているチェーン店ですら、実態はそうなのです。
要するに、そのお店の従業員に熱狂的なファンがいるわけです。
あなたにはファンがどれだけいるでしょうか?
以前、テナントで入居したとき、同時期に入居した隣のお店の女性店長さんと仲良くなり、意見交換したことがあります。
そのお店は飲食店ではなく、会員になってサービスを受けることで対価を支払う業種でした。要するに会員数が売上を左右するのです。ターゲットが狭いので、1人のお客様を獲得するために、ものすごいエネルギーを必要とします。顧客が毎月の会費を支払い、離れていかないように、とても注力するのです。彼女が雨の日であっても、外でチラシを配って勧誘している姿が印象的でした。
ある日のオープン前、その店長さんが「食べ物屋さんは顧客ターゲットが広くて、獲得が容易だからいいですね」と言ったとき、「あっ、飲食店って恵まれているな」と気付かされてものです。
毎日「今日はお客さん、何人来てくれるかな~」とネガティブな気持ちで勤務していませんか。
目の前のお客さん1人1人に最大限のおもてなしをして、全員をファンにできれば、小さな飲食店経営など容易い(たやすい)とは思いませんか?
実は「アナタを売る」いう商売のもっとも基本的なことが、みんなできていないのです。
さらに付け加えますと、飲食店のサービスというものは、インターネットの価格優先の商売では置き換えられません。要するに「飲食店で支払う価格=商品そのものの価格+サービスの価格」なので、この「サービスの価格」が、あなたのお店が提供する「サービスの価値」に比べてお値打ち感があれば「価格が安かった」と考えられるのです。そのサービスとしてまずは「アナタ」が一番の商品だということで、最優先で磨きを掛けなくてはならないのです。