小さな飲食店の問題解決

飲食店が生き残るために手を打つべき事項をご紹介します

ポイントカードと特典|お客が本当に喜ぶことは何か。飲食店経営者・店長が考えなくてはならないこと

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今日はポイントカードの話をします。

 

約1年前に投稿した記事ですが、この記事は重要なので少し加筆をして更新しました。実際に小さな飲食店を経営されている方、店長として勤務されている方、また、これから飲食店を開業しようと考えている方には、何度も読み返して考え方を理解いていただきたいところです。

 

もう10年近く前の話になりますが、

「いまどき紙のポイントカードにスタンプを押しているお店なんかないですよ」

と言われたことがあります。当時はフェリカを使った交通系ICカードや電子マネーはそれほど普及しておらず、お店のカードリーダにプラスチックのカードを入れて、印字面にポイントが印字されるタイプのほうが主流でした。ミスタードーナツさんなどでお馴染みだったタイプですね。

 

その頃、私は某チェーン店で店長として勤務していたのですが、

「そうだよな、スタンプカードにハンコを押しているお店なんて今どきほとんどないよな」

と思ったものです。

店長の立場で考えた場合、

  1. 従業員による不正を抑止
  2. 従業員による押し間違い(例えば「今日はポイント2倍デー」とうたっているのに、スタンプを2つ押さないでクレームになるなど)

というようなヒューマンエラーを防ぐ効果があり、アナログなポイントカードには少々問題点があることも理解していました。

 

また、あり得ないような話ですが、スタンプが乾いていないうちに、財布にしまったお客さんから

「インクが財布に付いたじゃない!どうしてくれるの!」

などとお叱りをいただいたこともあります。

 

ところがそれから10年以上が経過した今でも、大手チェーンで主流になっているような、フェリカの端末とスマホアプリを連動したポイントシステムを採用しているのは、少数派です。今でもスタンプカードを採用している小さなお店はかなり多いのです。

 

だからあなたのお店が昔ながらのポイントカードであっても安心して構いません。

 

そもそもポイントカードというのは、顧客の囲い込みが目的なのです。もっと分かり易く言い換えるならば、再来店をしてもらうためのツールなのです。

 

大手チェーンは、多店舗展開しているため、全店共通のシステムが必要です。そのため、スマホを利用したシステムを導入する利点は、ポイントシステムの柔軟性に尽きるわけです。例えば、特典を変更したり、その時々の広告を流したりする、といったシステム改変の容易性といった意味において、デジタル化されたポイントシステムの方が、メリットが大きいんですね。

 

要するに100店舗分の変更を1つ1つするより、システムの中央で一気に変更したほうが効率的なわけです。

 

いっぽう、小さな飲食店では、そんなことをする必要性はまったくありません。そう、1店舗なわけですから。

 

ですから、この顧客囲い込みが目的という原理原則に従ってさえいれば、ポイントカードは昔ながらのアナログだっていいのです。むしろ、アナログの方が、顧客との距離が縮まりやすいと思いませんか?

 

ただし、小さな飲食店の場合、特典を容易に変更するのは難しいのが実態です。特典の設定は、来店頻度やお客の心理を考慮してから、精査して決めなくてはなりませんここが重要です。

 

一度決めた特典は容易に変更できない、変更すると客離れが一気に加速します

 

特典に関して言えば、単純に改悪が客離れをするのではありません。改良と思われる特典変更、例えば、10ポイントで大盛無料を、5ポイントで大盛無料へ変更するなど、お客にとって良いことだと思われる内容への変更であっても、どういうわけか、お店の信用を失墜する行為になるのです。

 

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さて、特典内容の精査という点について、具体的に考えていきましょう。

 

例えば、客単価が5,000円のコース料理がメインのお店で、1回の来店で1ポイント、10ポイントで5,000円引き、という特典を設定したとします。

 

10回来たら、1回分無料になる計算ですよね。しかも5,000円です。これはお得だと誰しも思いますよね。

 

でも落とし穴が1つあります。

 1人5,000円の客単価のお店に、10回も来店するにはいったい何年かかるでしょうか?来店のスパンが長いと、次に来るときには、ポイントカードの存在すら忘れてしまします。それではポイントカードの効果が期待できません。

 

もしも客単価5,000円のお店ではなく、チェーン店のラーメン屋や牛丼屋だったとして、10回も同じお店に来てくれるとしたら、かなりのヘビーユーザーだと思いませんか?

 

そして、次が重要です。

 

こういうお客様は、そもそも商品に魅力を感じてくれているわけですから、ポイントカードなんて発行しなくても来てくれるのです。

 

だから、もっと別のサービスをして喜ばせてあげるべきなのです。

 

帰り際に「いつも来てくれてありがとうね」と言ってガムとか飴をあげるとか。

そんな感じでいいのです。

 

ここまで読んでみて「ポイントカードを利用して顧客を囲い込む」という目的と、「特典内容を精査するための考え方」について、お分りただけたでしょうか?

 

そのうえで、小さな飲食店のポイントサービスについて、私なりの提案をしたいと思います。

 

①3回以下の来店で特典を貰えるサービス

およそ、3回までは再来店する動機としてポイントカードが有利に働きます。逆にそれ以降は、ポイントカードがなくても、お客様の頭にあなたのお店がインプットされていますから、思い出したらまた来てくれます。

 

値引きではなくて商品での特典

たとえば、

  • ドリンク1杯サービス
  • デザート無料でお付けします

などといったサービスです。

価格が先行している今の世の中において、小さな飲食店では、価値を訴求しなくては勝ち目がありません。言い換えるならば、金銭的な特典は、お客様にとって大きな魅力と感じられないことが多いのです。

 

そういった意味において、商品の特典を設定するのが、お客にとって価値を訴求しやすいと考えられます。

 

また、これには副次的な効果があります。

 

商品を特典とした場合、お客様にとっては商品売価分のお値打ち感があります。

いっぽうで、お店にとっては商品原価分しか支出しないわけです。

つまり、両者がウィンウィンの関係にあるわけです。

 

値引きをするのなら、値引き相当額をポチ袋に入れてサンクスカードと一緒に手渡しする。

 

これは、大手チェーンでは真似できない、小さな飲食店ならでは特典です。

 

お客の立場で考えた場合、例えばロースかつ定食1,180円のところを、100円だけ値引きしてもらっても、それほど嬉しくありません。でも、100円が入ったポチ袋を、お年玉みたいに貰うと数倍嬉しいものです。

 

そこに感謝の気持ちを書いたサンクスカードも添えます。

「いつも来てくれてありがとう」と。

たったこれだけです。 要するに同じ価格でも、やり方を工夫するだけの問題なのです。

 

ポイントサービスは、お客様がプラスアルファで得をした、と感じることができればそれでいいのです。お客様の心のバロメーターを、来店して「得をした」ことで、どこまで高められるかが、次回への来店動機に繋がるのです

 

最近は、買い物もネットで済ませる人が多くなりました。注文から決済、お届けまでネットで済ませ、しかも価格も安い、こういう時代において、リアルの店舗が勝ち目を見出すためには、人間らしい対応しかないわけです。

 

その点、飲食店は物販とは違うため、当面の間は、ネットに駆逐されることはないでしょう。小さな飲食店は、さらにネットの物販や、大手飲食チェーンには真似できないような人間味ある取り組みで、顧客を囲い込んで環を広げていきたいところです。そこが、小さな飲食店のポイントカードの目指すところです。

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