小さな飲食店の問題解決

飲食店が生き残るために手を打つべき事項をご紹介します

客席を通じてあなたが実現したい世界観について

 これから開業しようとしている人、カフェや居酒屋、ちょっと飛躍してペンションなどを運営されているご夫婦に共通しがちなお話しです。

 

 ちょっと心にグサッとくるかもしれませんので、覚悟して読んでくださいね。

 

 先に、メニュー開発と自己満足という記事でお話をしましたが、カフェなどを経営されている店主さんは、メニューよりも客席の雰囲気・レイアウトにこだわりを持っている場合が多いでしょう。

 

 うちはコーヒーがスペシャルなんやと、客席がテキトーで殺風景な喫茶店などお目にかかったことはありません。

 

 おばんざいと一品料理、豊富な地酒が自慢の赤ちょうちんであっても、中華料理屋さんの居抜き店舗をまったく改装もせずに、丸テーブルに背もたれの高い椅子のままでご商売されている人もいないでしょう。

 

 それらは極端な例かもしれませんが、カフェや居酒屋さんの場合、他の飲食店と比較した場合、客席スペースに素敵な絵画や置物を飾ったり、雑貨の販売スペースを設けてみたり、手書きのPOPやメニューを充実したりと力の入れ具合が違います。

 

 これも店主が表現したい世界観が強く主張されているのだと思います。

 

 メニュー開発の記事で触れた通り、飲食店を開業された人は自己顕示欲が強い傾向があるため、自分が実現したい世界観が客観的に見てどうなのかという視点が欠如していることがあります。

 

 あなたが主張する世界観に共感してくれる人は少なからず存在し、そういうお客様とのコミュニティを形成するのが目的であればそれでいいのですが、ご商売として売上を伸ばし、安定した利益を生み出すということができなければ廃業へとまっしぐらです。それもかなりの短期間でそれがやってきます。

 

 あなたのコミュニティを形成するのであれば、極端なところお店の運営はボランティアでいいのです。自宅を改装してあなたの世界観をつくり、共感する人たちを招いて自費で毎日朝から晩までお茶を提供すればいいのです。そのほうが利害関係がない純粋なコミュニティを創り上げられるでしょう。

 

 

 一般的にメニューの自己主張より、客席レイアウトでの自己主張が強いほうが、飲食店としての存在価値が薄く、売上につなげることが難しくなります。

 

 例外として、特に地方の過疎地で成功している飲食店があります。

 

 実際にメニューにこだわりがあり、美味しく、それなりの客単価が見込めるお店です。

 

 雑誌や口コミで取り上げられることが多く、評価も高いのです。

 

 こういうお店は、実はそこへ訪れる距離や時間的な要素が無視できません。

 

 お客様は平日にそのお店に関する情報を知り、計画をして、休日の半日とか1日の時間をかけて訪れ、他の要素、例えばドライブのついでに温泉に立ち寄るとか、友達と1泊で観光をしながら小旅行をするとか、そのお店に行くためにいろいろなドラマが混在していることが多いのです。

 

 その非日常のなかで訪れるお店なので、独特の世界観を作り上げたお店であっても受け入れられるのです。むしろ独特の世界観であったほうがいいのです。

 

 また、そういうお店は一人ではなく複数で訪れることが多いので、自然と1組あたり単価が増えて商売として成り立やすいわけです。

 

 そういった背景、利用シーンがわかればイレギュラーな例だということがおわかりいただけると思います。

 

 近所にあなたの世界観を表現したカフェを作ったとしても、主軸となるメニューとなるスイーツなのか、ランチプレートなのかが洗練されていなければ存続は難しいことでしょう。

 

 ちょっと厳しい指摘をしましたが、これが実態です。

 

 

 ちなみに、地方都市で局地的に成功している例があります。

 

 名古屋発でモーニングが有名なコーヒーチェーン、北海道の函館で人気のハンバーガーショップ、札幌発で全国展開しているハンバーグのお店、などなど独特の世界観を表現した店舗の外観や内装ですが、決してチマチマしておらずこれでもかというくらい大胆に表現されています。ところが、これらのお店は世界観が売りなのではなく、圧倒的に支持されているメニューの付随的な部分に独特の世界観があるのです。

 

 今日のお話は、カフェや居酒屋などの店主さんが陥りがちな点、商品が先行するのではなく世界観が先行している、という落とし穴についてでした。

 

 もし、私もそうだと気付いたら、努力の集中する場所をいったん商品に向けてみてはいかがでしょうか。ご成功を祈ります。

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