小さな飲食店の問題解決

飲食店が生き残るために手を打つべき事項をご紹介します

飲食店の利用シーンとは?|浮かび上がる「消極的目的での外食」ニーズの実態

f:id:wikit:20180114213206j:plain

 

今日はお客さんが外食をする際の目的、つまり「利用シーン」についてお話しをします。筆者の実体験を通じて、痛感した内容であり、とても大切だと感じていますので、加筆して再投稿します。これから飲食店を開業予定の方には、ピンとこない内容かもしれませんが、すでに運営されている方、失敗を経験された方には共感できる内容だと思います。では、本題へ入ります。

 

まず、利用シーンは、2つの目的で区分されます。

  1. 消極的目的での外食
  2. 積極的目的での外食

この2つです。たった2つの目的で区分していますが、この切り口で考えてみると、自分が考えているお店のコンセプトと、実際のお客様の利用から浮かび上がってくる姿が、実は乖離しているのではないか、ということに気付くことがあります。

 

実際のワークショップを通じて、あなたのお店にも当てはまるようでしたら、商品設計を見直すチャンスかもしれません。

 

 

飲食店では、オープン後3年くらいまでは、数か月くらいのサイクルで、この視点に立ってお店を見直してみることが大切です。

 

今日はこの2つについて、具体的な例を出して一緒に考えてみましょう。

 

スポンサーリンク

 

 

 

 

喫茶店にみる利用シーン

消費者の視点で考えた場合、喫茶店という言葉が死語になりつつあって、最近はカフェというようになりましたよね。

 

昔ながらの喫茶店は、

  1. コーヒーを中心に、紅茶やオレンジジュースなどを提供する
  2. パフェやクリームソーダといったスイーツを提供する
  3. トーストやスパゲティなど軽食を提供する

このような商品を通じて、

  1. 友達同士のおしゃべりやデート、商談など、会話の場として利用する
  2. タバコを吸うための休憩スペースとして利用する
  3. 仕事をサボったり、暇つぶしの場として利用する

以前はこのような感じでした。

 

では最近のカフェはどうでしょう?あまり変わりませんが、

  1. インスタ映えするような、見た目を重視したスイーツを提供する
  2. 生パスタやピッツァなど、本格的な軽食を提供する

というように、まず商品ラインナップが異なってきました。それによって、

  1. 平日に、近所の女性がお友達と交流の場を目的として訪れる
  2. 土日に、遠方の女性がお友達と商品やお店の雰囲気など話題性を目的に訪れる
  3. 土日に、カップルがデートの場として訪れる

など、以前とは目的も異なってきたようです。

 

ちょっと脇道へそれますが、「当店は30代から40代の女性の利用が多い」とい結果は同じであっても、実は平日と土日では、目的が違うことがあります。

 

話を戻します。

これらのことから、現在のカフェは、昔ながらの喫茶店とは異なる新業態と定義すべきで、昔ながらの流れの先にあるのは、スターバックスなどのような大手のコーヒーチェーンのように考えるべきです。

 

ところが、大手のコーヒーチェーンは、昔ながらの喫茶店とはコンセプトが異なるようです。その証拠にウィンドウ越しに店内を覗いてみると、

  1. PCを開いて仕事をする
  2. フリーWiFiを利用して、スマホを操作する
  3. ひとりで安らぐ

こういう場面をよく見かけませんか?打ち合わせや商談、友達とのおしゃべりに利用している姿はあまりないようです。

 

そもそも複数より、1人で利用する人の割合が多いと思いませんか?

 

では、複数で利用している人たち、お友達やカップルでおしゃべりをする人たちや、商談や打ち合わせで利用する人たちは、いったいどこへ消えてしまったのでしょうか?

 

消えてしまった場所の一つに、ファミレスが挙げられます。

 

ファミレスは、アイドルタイムの空席率を解消するために、昔ながらの喫茶の需要を呼び込むことに成功しています。

 

打ち合わせや、企業対個人での商談、例えば生命保険などの契約などでは、ボックス席でテーブルが広いほうが好まれます。個人のプライバシーが重視されるような場面では、テーブルが狭くて隣のお客との距離が近い、オープンな環境が敬遠されるからでしょう。

 

それと、人口に占める喫煙者の割合が縮小し、分煙が大きく進んでいることによって、喫煙目的のニーズそのものが減ってきていることも見逃せません。

 

喫茶店1つをとっても、昔と今では利用シーンが異なり、昔の利用シーン目的でご商売をされるには、どのような立地で、どのような商品構成で始めるべきかが、おぼろげに見えてきます。

 

ただ、これから小さな飲食店を始める人にとっては、利用シーンを原点に考えることはないでしょうから、お店のコンセプトが、予想される利用シーンと合致しているかを見直す作業が必要になります。

 

スポンサーリンク

 

 

飲食店における利用シーン

 

さて本題に入りましょう。喫茶ではなく、これが飲食店ではどうでしょうか。

 

冒頭で触れた通り、私は「積極的目的での外食」と「消極的目的での外食」という2つのパターンがあると考えています。

 

まず、積極的目的での外食というのは、

  1. 2人以上のグループがお腹が空いて話し合った結果、食べたいと思うものを選び、該当するお店に食べに行くという行為。例えば、家族で「今晩は焼肉が食べたい」とか「日曜のお昼はお寿司を食べに行こう」というようなスタイル。
  2. 1人もしくは2人以上のグループが、何らかの広告、口コミやテレビなどでの話題になっているという理由で、そのお店に食べに行く行為(≒レジャー)。例えば、「来週末、〇〇へドライブに行って、あそこのお店で〇〇を食べよう。」

といったことを指します。

 

いっぽうで、消極的目的での外食というのは、先に挙げた喫茶店の例のように

  1. 打ち合わせ、商談、友人・家族とのおしゃべり、といった食べることよりも、むしろ話をする場所として利用するための外食
  2. お昼休みや出先での隙間時間に食事や休憩をする。
  3. 外出先でちょうどお腹が空いてきた時間だからという理由で、とりあえず食事をする。例えば、
  • 駅や空港でこれから乗り物で移動する。
  • 旅行の帰りに帰宅直前に食事を済ませてあとは寝るだけ。
  • 高速道路で帰省中にサービスエリアで食事をする。
  • 半日くらいショッピングモールで過ごすのでランチは館内で済ませる。
  • スーパー銭湯健康ランドなどでの施設で食事も併せてすませる。

といった利用シーンが「消極的目的での外食」と定義します。

 

飲食店を運営する側の視点、特にこれから小さな飲食店を開業したいという人にとっては、味やメニュー、外装などにこだわりがちで、前者の「積極的目的での外食」をする層をターゲットにしがちです。お客様は、空腹を満たすことを目的に、食べたいものを食べにくるという前提条件で考えます。

 

ところが、実際にはどうでしょうか?

 

私たちの生活において、飲食店を利用するシーンというのは、後者の「消極的目的での外食」のほうが圧倒的に多いと思いませんか?

 

何を食べるということが主目的ではなく、何かの主目的の結果として、とりあえずあそこのお店に入ろう、というところに「積極的目的でお外食」との違いがあります。

 

新たに小さな飲食店を開業するにあたり、誰もが商品やお店の雰囲気に力を入れます。

 

自分の世界を実現する場だからです。

 

そして、次に立地にこだわります。立地と物件の家賃などについて、折り合いをつけて妥協点をみつけてからご商売を始めることでしょう。

 

でも、この利用シーンの実態について、よく理解をしてしないと、なかなかうまくいきません。

 

お客さんとのミスマッチが起きるからです。

 

今の時代、お客さんはお店のワールドに合わせてくれません。

 

自分に合うお店のワールドを探しているのです。

 

小さな飲食店を開業するときは、誰もが自信に満ち溢れているものです。

 

でも、自分が考えているよりも、「積極的目的での外食」をしている人の数が遥かに少ないことをもっと知るべきです。

 

なぜ、高速道路のサービスエリアで提供している冷凍麺のそばやコロッケなどが、飛ぶように売れるのか考えてみたことはありますか?

 

サービスエリアでクオリティの高いフレンチのフルコースを3,500円で食べられたとしても、自販機のそばの小屋で、アルバイトの女の子が販売している北海道産ソフトクリームのほうが、売上が高いことでしょう。

 

今日は利用シーンについてお話ししました。

 

エッセンスは、

  1. 自分が考えているほど、「積極的目的での外食」のパイは大きくないということ
  2. 店をオープンしてからも、自分のお店の利用客を観察し、彼らの主目的がどこにあるのかを分析すること。分析結果を、商品ラインナップや販促内容へ生かして、改善サイクルに組み込むこと 

 

繰り返しになりますが、営業をスタートしてからも、このワークショップを何度か行うことが重要です。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

プライバシーポリシー

       
  • 当サイトでは第三者配信の広告サービスを表示することがあり、Cookie(クッキー)を利用して個人情報を収集することがあります
  • 収集した情報は、広告配信事業者が適切な広告を表示するために使用します。これには氏名、住所、メールアドレス、電話番号は含まれません
  • Cookie(クッキー)を無効にすることもできます